次の SNS が始まっている -4

結局 話したかったこと

最初に orkut に出会ったとき, "10km 以内にいる 2hop 以内の友人を誘ってカタン大会を始める" といった SN の機能した社会の可能性に期待を抱いた。
その後 orkut 系の SNS は進化を止めて一旦は失望を抱いたが, FOAF から始まった流通可能な SN システムの発展が再び可能性を示してくれた。FOAF も結構時間をかけているが, 周辺の期待や状況は今変わりつつある。
5 hot products for the future に SocialNetwork MovieTickets のようなアイデアが掲載される, など SNS を受け入れた社会は次の期待を持っており, web-wide な SNS 実現の足がかりとなるだろう次世代の Identity システムは今度こそ実現するかという喉元まで来ている。
そろそろ SNS をリスタートさせる時だ。

では User-Centered, web-wide system が実現した SNS の未来はどうなっているだろうか。

例えば "一緒のテーブルで話した" ような関係性が SN, 情報財として取り出せるだろう。
その SN をリソースとして, メッセージングツールで御礼を送るあて先に, 写真のようなデータの ACL を設定するリストに, といったハンドリングが可能だろう。
とことん社会に染み込んだ SNS を考えるのが楽しくて, それはきっと人の輪が影になって残るようなデータシャドウレベルの SN から, 親友づきあい, 家族まで無数のレベルで SN が存在し, ユーザはそれを管理し, 組み合わせ, 日々のサービスやアプリケーションの中で使うことが出来るはずだ。
膨大な SN の利用は検索やタギングといったファインダビリティシステムに支えられており, 適切な SN を見つけ, それらをキャストして夕飯の相手を決めたり, グループ通話を始めたりと SN が日常の場面で機能する (SN プロバイダの仕事のひとつはエージェントの提供かもしれない)。
これを実現するには多くのチャレンジが必要だが, まず目の前のニーズを掬い取る事を一歩として少しづつ実現していけないだろうか。
この点では国内の SNS 事業者に期待していて, 自社事業の観点からだけでなく社会的な観点から 5 年後, 10 年後の姿を捉えてみてはくれないだろうか。でなければ GoogleMicrosoft が黒船として破壊的にやってくるかもしれないと危ぶんでいる。

また SNS が user-centered (user-centric) であるというのは大切なことで, 例えばデータシャドウのようなレベルで発生する SN が企業のものになるのか, それともそれを生み出した個人がコントロールし, 自分自身の責任と判断で運用するのかでは大きく違ってくる。
単にモラルや理想の話だけでなく, user-centered に設計したアーキテクチャの方が市場規模や可能性を多く生み出すと思っており, 最後は usre-centered を buzz word として皆が動くような何かが探せればと思っている。
例えばオープンな SN システムが誰もが参加可能な形でそこに存在することは, 特に上位層のサービス層に於いて参入コストを劇的に引き下げる。
二層化, 劇的に, というのが大事だ。
uncontrolled なレイヤでとことん劇的にサービスの開発/維持コストが落ちれば, とんでもなくニッチでマイナーなサービスが生まれ, bit の世界はもっと豊かに, 様々なサービスやアプリケーションで満ちる。

ただ user-centered な SNS は理想的だが, 今の流れに任せたままでは実現しないだろう。
SNS はこの数年アーキテクチャ面で発展がなく数年前のポータルビジネスと同じ動きを辿り, Microsoft はおそらく Windows OS と同じ囲い込みを web-wide system でも狙うだろうし, Google の "don't be evil" は "do the best for the world" ではなく, 彼らが web-wide なシステムを作ったとしてそのシステム層の参加性を開放するとは思えない。
今後何か新しい動きがあるとしても, 大抵は事業利益につながるピラミッド型や, システムやユーザを貸し与える分譲型に近いものが先に出てくるはずで, SNSアーキテクチャを再構築して user-centered にしよう, というプレーヤはなかなか出てこないだろう。
逆に言えば user-centered なシステムの可能性をビジネスに落とし込み, 既製物をぶち壊すシナリオをつくるところにチャンスがあるのかもしれない (と煽ってみるテスト)。

蛇足ついでに。
user-centered の可能性を考えてみると, 例えば Identity, SingleSign-On, SNS の実現は既存のサービス構造に大きな変化をもたらす。例えば SN 内での本の貸し借りや不要になった洗濯機の取引が発生するとき, それを仲介するシステムは Yahoo! auction で無くとも成り立つだろう。
今の多数のユーザがサービスにぶら下がる形態から user-centered - ユーザが状況に応じ選択的にサービスをキャストする形態への変化は今ある web, 世の中のイケてない部分に破壊的, 創造的に作用し, 寡占状況が一旦は崩れ, その後に来るのはより多様な発明と発展に溢れた世界だと期待している (代わってファインダビリティシステムがより巨大な王として君臨するかもしれないが)。
user-centered (user-centric) というキーワードは SN に限らず今後数年の, web の次のタームに於ける挑戦に関わるキーワードだと思っている。

最近の SNS 方面の動向を見ていると, パイを増やすための活動 (ピラミッド型化, インフラ商売や機能, システムの分譲) は頑張っているが本当のオープンな SNS, user-centered な SNS とは違う方向に行こうとしているように見える。
何とも心細い状況だ。だが web2.0 のキーワードはレイヤリング (垂直から水平へ) と個人へのパワーシフト (という言い方/認識に疑問はあるが) だった。その流れは user-centered や, 上記に示した SNS に通じているのかも知れない。
最近の web の流れの速さは予想を超えて来ることがある。SNS に於いても, 良い意味で裏切って欲しいと期待している。


# 削除済みの 1st ポストから無駄に長くなり薄まった気が orz
# 長文こりごりですよ.. 反省。